ウェーベルン

【Concert】フレッシュで精緻。今注目のクァルテット・レオンコロ弦楽四重奏団

2023年5月16日、オランダ・ヒルフェルスムで開かれたレオンコロ弦楽四重奏団(Leonkoro Quartet)のコンサートにお邪魔してきました。
公演チケットはソールドアウト。注目の高さが窺えます。

本日のコンサート会場であるヒルフェルスム市庁舎は、ウィレム・マリヌス・ドゥドック(Willem Marinus Dudok)というオランダ人建築家によるものです。

ドゥドックは1884年に生まれ、1918年からはアムステルダムからほど近い中規模都市として発展を迎えていたヒルフェルスムの都市計画に携わりました。
こちらの市庁舎は、引退後も建設に関わっていたというほど思い入れのあるプロジェクトだったそうです。

複雑に組み合わさった立方形のような、特徴的なシルエットの建物。内装は、色とりどりのステンドグラスやゴールドの装飾が印象的でした。


レオンコロ弦楽四重奏団(Leonkoro Quartet)は、2019年にドイツ・ベルリンで結成された若手クァルテットです。

2022年4月にロンドン・ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクール第1位(さらに12ある特別賞のうち9つの賞を独占!)、同年5月ボルドー弦楽四重奏コンクール第1位並びに聴衆賞など、有名なクァルテットコンクールで数々の賞を獲得。The Stradなどの特集インタビューにも取り上げられ、世界的に注目を集めています。

2020年2月ごろからヨーロッパにおけるコロナ禍が始まっていたことを考えると、レオンコロ弦楽四重奏団は、その結成から1年と経たないうちにロックダウンなどの影響を受けています。
音楽家の中には、コンサートで演奏できないことや仕事がなくなってしまったことに対してショックを受け、モチベーションを失って落ち込んでしまう人々もいました。

レオンコロ弦楽四重奏団は、そのようなコロナウィルスの影響を良いかたちで乗り越えた、まさに希望の星といった存在です。コロナ禍中に4人で練習を重ね、その成果を国際的に認められていくことに成功。オランダ・アムステルダムのコンセルトヘボウでも公演を控えており、今一番注目すべきクァルテットだと断言できます。

メンバーは、第一ヴァイオリンのヨナタン・シュワルツさん、第2ヴァイオリンのアメリー・ワルナーさん、ヴィオラの近衞麻由(このえ まゆ)さん、チェロのルーカス・シュワルツさんです。

ヨナタンさんとルーカスさんは日本にもルーツを持つご兄弟で、小さい頃から合奏していたのだとか。ヴィオラの近衞さんはヒルフェルスムのご出身です。どなたも2023年現在、20代半ばというフレッシュさ!

ドイツ北部のリューベック音楽大学で学ぶかたわら、スペイン・マドリッドのレイナ・ソフィア音楽学校にてかのギュンター・ピヒラー(元アルバン・ベルク弦楽四重奏団)にも師事しています。コンサートで活動の場所を広げつつ、着実にレパートリーを増やしていく過程にあるようです。

『レオンコロ(Leonkoro)』はエスペラント語で「ライオンハート」を意味し、児童作家のアストリッド・リンドグレーンの作品から由来して、クァルテット名になったのだそうです。

物語が織りなす死という抗いがたい現実と、癒しと慰めに対する心からのあこがれ、という二つのテーマは、演奏者にとって身近なものだ。作曲家たちは深い悲嘆に暮れるときにも弦楽四重奏曲を含む楽曲をしたためることに慰めを見出してきたからである。

(レオンコロ弦楽四重奏団公式ウェブサイト プロフィールより引用)

(響きもセンスもいいネーミングですよね…!)

今回のプログラムは以下の通り。

  • アントン・ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章
  • ヨーゼフ・ハイドン:弦楽四重奏第3番 op.33
  • ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェン:弦楽四重奏第13番

どの曲も素晴らしい完成度の高さでした。まとまった響きからは、4人の集中力の高さと精緻なテクニックが感じられます。
演奏前に楽器を構えるところからして動きの着地点が揃っていて、そこから音楽が自然に紡ぎ出されます。曲の終わりも、音が響ききるまで音楽を感じていることが伝わってきて、とても気持ちがいいのです。ダイナミックで活き活きとしていて、地に足のついた曲の解釈を示してくれるのも素晴らしいと思います。これほどしなやかな演奏を聴かせてくれるクァルテットはなかなかいません。


ステージを降りたメンバーの方々は、自然体で朗らかな印象で、まっすぐな目をした若者たちでした。CDの先行発売・サイン会も開かれていました。

2023年9月にはオランダ・アムステルダムのコンセルトヘボウでコンサートがあり、2024年2月には同じくアムステルダムの弦楽四重奏ビエンナーレにも登場予定。これから先も、活躍がとても楽しみな団体です。

(ちなみにヴィオラの近衞さんのご兄弟の剛大さんは、ちょうど今月日本で開かれていた大阪国際室内楽コンクールのピアノ三重奏・四重奏部門にて、カピバラ・ピアノ・クァルテットで第1位ならびにMK記念会賞を受賞されました!おめでとうございます㊗️)

◆レオンコロ弦楽四重奏団公式ウェブサイト 日本語版の経歴ページ

◆ヒルフェルスム市庁舎コンサートについて (2ヶ月に一度ほど演奏会あり)

photo&text/ Mako Yasuda

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